外に出るのもしんどい暑さ、読書がすすみますね。そこで、Fitな本のご紹介です!
「SPARK ~The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain~」「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学で分かった脳細胞の増やし方」です。
今年5月に「累計10万部(36刷目)」を突破したということで、読んだことのある方も多いかもしれませんが、心身の健康について、学習・仕事の効率アップについて学びたい人には大変ためになる、必読の一冊だと思います。「暑い」「マスクつらい」「感染症が」・・・と何かと理由をつけては引きこもる傾向があったのならば、これを読めば、そんな自分を忘れてしまうくらい、とにかく動きたくなりますよ!
冒頭いきなり引き込まれるのは、アメリカ・イリノイ州のとある学区で実践され、確認された事実。そこでは、授業に「新しい形の」運動(体育)を取り入れた結果、
肥満の割合が激減するとともに、参加する生徒の
成績がアップ。しかも、生徒たちの
協調性や自己肯定感の向上まで確認できたというのです!
本書では運動するとなぜ学習能力が上がるのかーのみならず、ストレス、不安、うつ、ADHD、依存症、ホルモン変化、加齢といった人間の生活・人生全般に影響を及ぼすのか、運動がいかに脳を鍛え、頭の働きを取り戻し、気持ちを上げるか、具体例を交えながら解き明かします。
個人的にハイライトだったのは、前述の「新しい形」の体育の授業。「0時間目」と朝に行うのも新しいですが、さらに面白いのは「個々の目標値を定めること」。生徒たちは心拍計を身につけ、どれだけの時間、目標心拍域に達していたかで成績がつけられます。運動の種類やトラックを走った際のタイムなどは関係ありません。
”(この学区での)体育の真髄はスポーツではなく健康(フィットネス)について教えるところにある。根本にある考えは、体育の授業を通じて自分の健康を観察し管理する方法を教えることができれば、その知識は生涯、役立つだろうし、生徒たちにより長くより幸せな人生を送らせることができる、というものだ。実際のところ、教えているのはライフスタイルなのだ。
ーkindle版ロケーション315より
私は運動神経が悪いので体育が大嫌いでした。喘息&貧血だったこともあり、速く走れないし持久力も筋力もない。駆けっこでは当然勝ち目はないし、持久走ではすぐバテるし、チームスポーツでは戦力外のお荷物扱いをされるタイプ。ベンチ入り→動かない→余計体が弱くなると、体育=健康(フィットネス)というイメージは全くなかったので、なんと素晴らしい試みなんだと感激です。
しかも、その効果は覿面。なぜなら、この体育の導入で生徒たちの成績や精神面・社会性にまで良い影響が認められましたが、そこには運動を「自発的」に行うことが必須だからです。運動はアドレナリンの放出などもあり一種のストレスでもありますが、「自発的に」運動をすることによって幸せホルモン「セロトニン」神経系が活性化し、脳内神経を活性化する神経栄養因子(Brain-Derived Nutrition Factor, BDNF)の量の増加に繋がるのというのです。このような事例の紹介が、本書を、最近教育関係者、医療関係者の間で知る人ぞ知るバイブルの一つとして読まれている所以でしょう。
精神科の医師として多くの患者の治療にあたってきた著者のジョン J.レイティ氏は、人々が身体を動かさなくなっていることと、運動不足の生活が脳にもたらす悪影響に危機感を抱き、「運動が脳のはたらきに及ぼす効果を知れば、多くの人が救われる」という信念をもとに、本書を刊行したそうです。
上記の他にも目を見張る実例がたくさん紹介されています。脳内物質の働きを知るのも面白いです。詳しくはぜひ本書を読んでみてください。
最後に、著者おすすめの運動(強度と頻度)は以下の通り。有酸素・筋力強化・バランス・柔軟性の4つの領域をカバーし、規則正しく続けることが良いということなので、無理なく楽しめて、生涯続けられる運動を見つけ、実践することが大事ですね!
◼有酸素運動
週に4日、30分〜60分、最大心拍数の60%〜70%の強度
さらに週2日、20分〜30分、最大心拍数の70%〜80%の強度
◼筋力トレーニング
週に2回、ダンベルかトレーニングマシンをを使って無理のない重さで、10〜15回を1セットで3セット
◼バランスと柔軟性
週に2回、30分程度、バランスと柔軟性を重視した、ヨガ・ピラティス・太極拳・空手や柔道・ダンスなどの運動
※基本は220から年齢を引いた数字が理論上の最大心拍数
※60歳以上は例外なく、ほぼ毎日運動することがおすすめ