便秘解消に重要だということでよく耳にするようになった「食物繊維」ー。
実は、消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達するために、長い間は「栄養素」とはされてきませんでした。
ところが近年、便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、
血糖値上昇の抑制、
血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになり、たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルに並ぶ「第6の栄養素」に認められるようになりました。
ほとんどの日本人に不足している食品成分として、積極的に摂取することが勧められるようになったこの食物繊維について簡単に解説させていただきます。
□ 食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」
たんぱく質・脂質・糖質などは、消化管の中で消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきますが、食物繊維はこの消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達します。水に溶けないセルロースやリグニン、水に溶けるペクチンやアルギン酸、さらに消化されにくい性質を持ったデンプン・デキストリン・オリゴ糖などの成分も含まれます。「繊維」という言葉から、細い糸のようなスジ状のものをイメージされがちですが、「ネバネバ」するものから、水に溶けて「サラサラ」した状態のものまで、多くの種類があります。
□ 消化されないのに栄養素?食物繊維の効果とは
消化されないのに、栄養素と呼ばれるのは少し不思議かもしれないですが、まず消化されずに腸に届くことで、
便の体積を増やす材料となります。だから、便秘解消に繋がるんですね。たかが便秘と思われるかもしれませんが、便秘は放置しておくと、糞塊(ふんかい;便が腸の中で固まってしまったもの)による腸閉塞や直腸潰瘍、そして虚血性腸炎などの合併症を引き起こすことがあ
るので、毎日健康で過ごすのに、一日に一回、規則的に排便がある状態を保つことは重要です。
さらに、食物繊維が消化されずに腸に届くことで、
ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を正常に整える作用も知られています。そして、食物繊維が腸内細菌によって発酵される際にできる短鎖脂肪酸は、結腸細胞のエネルギー源となり、腸の腫瘍細胞の成長と分裂増加を防ぐ作用も期待されます。憩室性疾患や 痔を防いだり、大腸ガンのリスクを下げるのです。
また、腸に届く過程では、他の栄養素の吸収スピードを抑える役割があります。
食後の血糖値の上昇と、それに対するインスリン反応を穏やかにします。なので糖尿用の方に特に重要になるのはもちろん、急激な血糖値の上げ下げをなくすことは、食後のだるさを防いだり、体重をコントロールしやすくなることにもつながります。
腸に届く過程ではさらに、
血液中の脂肪にあたるコレステロールに作用することもわかっています。高粘性の食物繊維は、総血清コレステロール値と、悪玉コレステロール(LDL)値の両方を引き下げ、食物繊維の含有量が高い食事を続けることによって、冠動脈疾患 (CHD) を予防するという研究結果が得られています。
食物繊維の効果として、で毎日の生活で一番わかりやすいのは
満腹感をもたらしてくれることですね。食物繊維は消化されないので実質カロリーはないことになります(
*)が、食べる量は多いので、少ないカロリー摂取でお腹が満たされるんですね。ダイエット向きと言われる所以です。
*腸内細菌による発酵を受けて吸収され、エネルギーに変換される食物繊維があることから、便宜上、栄養成分表示では食物繊維は1gあたり2kcalで計算されます。
□ 1日にどれだけ摂取すればいいの?
日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、低下している現状です。最近の報告によれば平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。*1
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18〜69歳で男性20g以上、女性18g以上となっています*2。
*1日本食物繊維学会 監修 「食物繊維 基礎と応用」 第一出版,2008.
*2菱田明,佐々木敏 監修 「日本人の食事摂取基準[2015年版]」第一出版,2014.
ザイテンバッハ プロテインバー には食物繊維が1本あたりに12g以上含まれています。体のサインから見た食物繊維の必要量は「一日に一回、規則的に排便がある」こと。この状態である人の排便量は一日に約150g(Mサイズの殻なし鶏卵に換算すると約3個分)であることがわかっています。この便量に満たない場合、便秘がちな場合は、食物繊維が不足している可能性がありますので、3時のおやつにぜひ取り入れてみてください。
出典:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット